私が問題にしているのは、薬剤処理であれ、ベイト処理であれ、モノが主体のマニュアル処理である。ほんのわずかな被害(見た目の大きさではないが)にもつねにベイトでしか対応できない技術の低さである。 マニュアル式ベイトシステムを扱う人の話からは状況に応じた多用な手段の選択がなく、いつもベイトの器具の名前ばかりが踊り、過程が飛ばされて、結果だけ が吹聴される。そして、シロアリがいなくなっても(あるいは低密度になっても)、システムの継続のみが最良の対策だとされる。 ベイトも確かに一つの手段である。様々な状況から技術者が必要だと判断したならその採用は正しい。しかしたとえば、わずか数グラムの薬剤処理でシロアリコロニーが壊滅させられるのに、このシステムで家屋を取り巻く方がいいかといえば、それは明らかに過剰措置である。あるいは床下にヤマトシロアリがいても物理バリアの部分採用で済む場合でも、このシステムで「全滅」させていいものかといえばよくない。 現在、我が国ではベイトシステムにはいくつかあるが、マニュアル的な傾向の強いものもあれば、割合柔軟に採用できるものもある。必ずしも一つではないので、どうしてもシステムとして採用しなければならない場合は、消費者としてはいくつか当たってみる必要があろう。 また、薬剤処理の分野でも最近の新薬の変化はすばらしいものがあり、微量で処理できる薬剤がでてきている。むしろレスケミカルというならこれらを駆使する ほうが合理的ですらあるし、部分的な物理バリアと併用すれば、ヤマトシロアリではほとんど薬剤なしに処理することも可能である。そして現実にそういう方式 は広がり始めている。 話は変わるが、「バリア工法」という言葉を聞くようになった。以前はこういう言葉はなかった。たぶんベイト処理との対比で使用されているのだろう。 この言葉によって従来の薬剤処理への見方がはっきりするようだ。つまり、従来の薬剤処理をバリアととらえて「薬剤処理はコロニーを駆除するものではない」と思っていた人々が意外に多かったということである。 シロアリ駆除というものを理解している業者では、従来の薬剤処理の場合でも、イエシロアリ駆除では巣の駆除(いわゆる「全滅」)をしていたのであって、 けっして「バリア工法」ではなかった。たとえ忌避性のある薬剤(一般に駆除に不向き)でも、工夫して巣の駆除をするというのが専門の技術者の腕であった。 バリアととらえていた業者はおそらくイエシロアリもヤマトシロアリも同じように薬剤に頼って処理し、イエシロアリが駆除できなかっただけであろう。 そして、ヤマトシロアリの場合でも、薬剤処理は「バリア工法」ではなく、直接間接の巣の駆除であったし、また土壌に処理することで基礎周囲のシロアリの活動を封じ、駆除につなげるものであった。(新築予防については言及しない) どうやら、「バリア工法」というのは「ベイト工法」と同じようなマニュアル式の土俵上での言葉であるようだ。 以下の場合はマニュアル式ベイトシステムよりもはるかに軽便で、かつレスケミカル的に処理できる。 ・基礎断熱など特殊構造のない一般的な床下の家屋のヤマトシロアリ駆除。とくに、家屋内の土間が少ない家。 ・巣系が把握しやすいイエシロアリ駆除。 以下の場合はマニュアル式ベイトシステムを選択肢に入れてもよい。 ・特殊構造の家屋のヤマトシロアリやイエシロアリ駆除。 ・巣系が把握しにくいイエシロアリ駆除。 以下の場合はマニュアル式ベイトシステムでは対応できない。 ・ベイトの設置が非常に困難な家屋の環境でのシロアリ駆除。 ・乾材シロアリの駆除。 2002/6
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