ダニとシロアリ
家で飼っているヤマトシロアリの一つのコロニーにダニが大量発生した。
前々からやや弱ってきているのはわかっていた。個体が異常に白くなり、小型の個体が増えだした。動作も鈍い。
やっと暇ができたので、顕微鏡でのぞいてみた。職蟻の頭部に5頭ほどのこげ茶色のダニがお椀を伏せたようにくっついていた。複眼をもたないヤマトシロアリ に複眼ができたように見える。じっと眺めていると「お椀」の下のほうでモゾッとダニの手足が動く。まるでエイリアンだ。触角には幼虫らしい白くて小さいダ ニが手足を動かしながらくっついていて、シロアリは触角を思いっきり振って払い落とそうとしているかのようだ。中にはシロアリの体から転落したものもい て、異常な速さで走り回っている。
今までにもこうしたダニは見ているが、ちょっと記録に取っておこうと撮影した。子供用に販売されているパソコンとつなぐタイプの顕微鏡はムービーも撮れる。いろいろ工夫してやってみたら、なんとかうまくムービーも撮れた。
シロアリの生息域には常にさまざまな生物が共生していて、普段シロアリが元気なときはなんともないのだが、少しでもシロアリが弱りだしたりすると、一斉に襲いかかるのである。
人間でも病気などで体が極端に弱ったりすると、普段なんでもないような細菌が牙をむくようになるのだ。
生き物というのは他の生き物との間で常にうまくバランスを取っている。一部が変化すれば、全体のバランスに変化がおきる。普段はほとんど無意味にさえ思われる生き物が、バランスの再構成の中で大きな役割を果たすことが多い。多分ダニもそういう役割なのだろう。
2000/11