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物理的バリアのいくつかについて


防蟻版
防蟻版はアリ返しともいわれるもので、束石や基礎コンクリートに沿って蟻道を延ばしてくるシロアリを、下方に折り曲げた縁を持つ金属板などの板によって阻止しようというものです。
これまでの研究者による実験では、ある一定の比率による曲げ方や形状の防蟻板をシロアリが突破・通過できないとされています。
しかし、次のような問題点があります。
一つは、設置する場合にきわめて均一・完全に設置できるかどうかです。
シロアリは防蟻版にぶつかると防蟻版に沿って横に移動します。そうしたときにわずかでも接合部に隙間があるとそこから侵入します。つまり完全な工事をいか に保証するかということです。研究者の実験でもほんのわずかな形状の違いによって突破されているのです。とくに、既設家屋ではこれを完全に行うのはきわめ て困難だといえます。。
二つには、研究者の実験は限られた期間のものであって、10年以上にわたるアタックを受けた場合には、防蟻版の下側に土が詰め込まれて、単なる突起になってしまう可能性があることです。あるいは材質によっては穴があけられる可能性もあります。
三つには、これが決定的ですが、家屋全体のシロアリ対策として考えると、もっとも侵入しやすい土間の中には設置できないということです。
つまり、定期的にメンテナンスできる床下には設置できても、真に必要な地下には設置できないのです。
防蟻板の場合、むしろ完全な阻止を目指すのでなく、定期点検との組み合わせで「侵入を遅らせる」道具と考えた方が無理がないようです。
砂粒
ある一定の硬さと大きさをもった粒子をシロアリが突破できないという実験結果があります。つまり、シロアリが粒子の隙間を通過するには小さすぎるし、粒子 をくわえて移動するには大きすぎるという大きさです。そして、こうした均一な粒子を床下にある厚みをもって撒くことでバリアと出来ると考えられているので す。
これは均一な粒子が大量に処理できるなら、床下においては防蟻版よりも設置しやすいものだと思われますが、既設家屋の場合、土間の下の土の中への設置はかなり難しく、構造上の制約も受けます。
ただ、全面的なバリアを考えるのでなく、部分的な処理や定期点検などとの併用によってはかなり多面的で柔軟な活用も可能です。
当社では、薬剤に頼らないシロアリ対策(とくに予防)で一定の粒度の珪砂を利用しています。
ステンレスメッシュ
オーストラリアではかなり多くの実績を持つもので、ターミメッシュという名前でわが国でも採用され始めています。
新築時に家屋の床下や柱の下部にこれを設置することで、ほぼ完璧に地下からの侵入阻止効果があるとされています。また、土間の下にも確実に設置できます。ただし、有翅虫による被害や、乾材シロアリは対象外だし、既設家屋では設置できません。
オーストラリアと異なる家屋事情の日本でどのように定着するかが注目されます。
ガラスメッシュ
ガラス繊維はシロアリが通過しにくいことから、これを利用してシロアリの侵入を阻止しようというものです。
これもかなり有望な方法で、すでにかなり以前からわが国では文化財などで使用されていて、ガラス繊維に硼酸が添加されたものが使用されています。
これもシロアリシャッターという名前で商品化されていますが、はさみ等で容易に加工できる点では、むしろステンレスメッシュよりも使用領域が広いかもしれません。
これも当社の薬剤に頼らない新築予防で部分的に利用しています。

左はガラス繊維の点検用シロアリ返し珪砂による物理バリアの例

物理バリアの採用に当たっては、単一の手段ですべてシロアリをシャットアウトしようという考え方だとどこかに無理が生じます。
マニュアルに沿うのでなく、シロアリ技術者の判断により、他の手段との併用する方が様々な状況の変化に対応できます。
逆に、物理バリアがあるからといって複雑な家屋構造にした場合、万が一の事態に対処しにくくなります。

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